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出生前検査とは?

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)などの出生前検査について、知っておきたい情報をまとめています。検査を受けるか考えている方、検査を受けて悩んでいる方に対するサポート情報も紹介しています。

出生前検査の目的

出生前検査とは、生まれてくる前の段階で、お腹の中の赤ちゃんに病気やからだのつくりの特徴がないか調べたり、健康状態について確認したりする検査のことです。すべての妊婦さんが受ける妊婦健診とは違い、検査を希望する方が受けるもので、妊婦健診では見つからない病気がわかることもあります。

出生前検査は、赤ちゃんの病気を知るためだけに行うものではありません。出生前検査によって赤ちゃんの状態を知ることは、ご夫婦やご家族がこれからどのように過ごしていくかを考え、決定する機会を持つことにつながります。また、妊娠中から赤ちゃんの生まれつきの病気に関する理解を深めて、赤ちゃんに必要な治療や支援などの情報を得ることで、事前に準備することもできます。例えば、出産直後に赤ちゃんに専門的な治療やケアが必要なことがわかれば、それらが可能な医療機関で出産することができます。

出生前検査に関心を持ったきっかけや理由はご夫婦やご家族によって異なり、検査を受ける・受けないという選択や、検査結果が出たあとの意思決定には、決まった答えはありません。検査の種類や目的、検査の前後に受けられる支援について理解したうえで、出生前検査を受けるかどうかパートナーやご家族とよく話し合うことが大切です。

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教えて先生!出生前検査 よくある20の質問

出生前検査でわかること

出生前検査は、赤ちゃんの病気を調べるものですが、あらゆる生まれつきの病気について調べられるわけではありません。現在行われている出生前検査でどのようなことがわかるのか・わからないのかを知っておきましょう。

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4分でわかる「出生前検査でわかること編」

出生前検査でわかること・わからないこと

出生前検査のうち、NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)、超音波マーカー検査、コンバインド検査(超音波マーカー検査と血液検査)、母体血清マーカー検査では、主に赤ちゃんが染色体の病気を持っている可能性がわかります。しかし、これらの検査は確定的検査(絨毛検査、羊水検査)を行うかどうかの判断をするための検査であり、陽性という結果でも、必ずしも染色体の病気があるというわけではありません。また、染色体の病気の中でも、例えば出生前検査認証制度等運営委員会でNIPTの検査対象としているのは13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー(ダウン症候群)という3つの病気の可能性だけで、それ以外の染色体の病気は検査対象としていません。

胎児超音波検査では、超音波を使って赤ちゃんの全身を観察することにより、脳や臓器、顔や手足などの特徴・病気があるかを調べます。しかし、脳や臓器などの病気の全てを発見することはできません。また、染色体の病気についても確実にはわからないものが多くあります。

確定診断のために行う絨毛検査や羊水検査では、トリソミーなど染色体の病気があるかがわかります。同じ染色体の病気でも、症状は人により違いがあり、その重さの程度まではわかりません。

生まれつきの病気がある赤ちゃんの割合は約3~5%で、染色体の病気はそのうち25%程度といわれています 1) 2)。視覚・聴覚といった感覚器や、神経発達など、さまざまな特徴や病気は出生前検査を行ってもまだまだわからないものも多いのです。

図:生まれつきの病気の原因

生まれつきの病気の原因

出生前検査を受けるか検討している方へ

出生前検査についての情報は、さまざまな場所や機会を通じて得られやすくなっていますが、信頼できる情報源から正確な情報を手に入れることが重要です。入手した情報だけでなく、ご自身の気持ちもパートナーやご家族に伝えて、しっかり話し合うことをおすすめします。

出生前検査を検討するときには、専門家に相談すること(遺伝カウンセリング)も必要です。遺伝カウンセリングを受ける際には、ご自身がどのような不安を抱えているか、どのようなことを知りたいと思っているか、どのようなことを大切にしているかを見つめ直して整理してみましょう。そうすることで、遺伝カウンセリングによって不安などが軽減されたり、必要な情報や支援を得やすくなったりします。

お腹の赤ちゃんについて詳しく知ることにより感じられる意義は一人一人で異なります。出生前検査を受けて、その後どうしていくかについて、ご自身の価値観に基づき、納得して判断していくことが大切です。

出典:

1) Nussbaum R, et al.: Thompson & Thompson Genetics in Medicine, 8th Edition, Elsevier, 2015
2) Wellesley D, et al.: J Hum Genet 2012; 20: 521-526

出生前検査の種類

出生前検査には、主に、確定的検査を受けるか判断するための検査と、診断を確定する確定的検査があります。実施できる時期や検査結果が出るまでの期間、精度などは検査によってさまざまです。いずれも自費診療となり、検査にかかる費用は医療機関によって異なります。

図:出生前検査の種類

出生前検査の種類
※横にスワイプすると表全体を見ることができます。

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4分でわかる「出生前検査の種類編」

確定的検査を受けるか判断するための検査

お腹の赤ちゃんに染色体の病気がある可能性を調べる検査です。これらの検査だけでは確定診断とはならないため、非確定的検査とも呼ばれています。

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)

超音波マーカー検査・コンバインド検査

母体血清マーカー検査

胎児超音波検査

通常の妊婦健診での超音波検査より時間をかけて赤ちゃんを調べるもので、専門的な訓練を受けた医師や検査技師が行います。超音波画像で赤ちゃんの臓器や手足などを観察し、特徴がないかを調べます。病気によっては、確定的検査にもなり得ます。

確定的検査

確定的検査を受けるか判断するための検査結果が陽性の場合や、胎児超音波検査の結果などから赤ちゃんに異常がある可能性が高い場 合に実施します。他の検査を受けていなくても、妊婦さんの実施希望に応じてこの検査のみ行われる場合もあります。 お腹に針を刺すため、流産のリスクがありますが、その確率は絨毛検査で0.2%、羊水検査で0.1~0.3%程です 1) 2)

絨毛検査

羊水検査

出典:

1) Akolekar R, et al.: Ultrasound Obstet Gynecol 2015; 45: 16-26
2) Practice Bulletin No.162: Prenatal Diagnostic Testing for Genetic Disorders. Obstet Gynecol 2016; 127: 108-122

出生前検査の受検の流れ

妊娠していることがわかり妊婦健診が始まるころ、出生前検査について初めて知る方も少なくありません。出生前検査の受検の流れは、実施している医療機関によって異なりますが、ここでは、大まかなステップについてご紹介します。詳細については、実際に検査を受けられる医療機関に確認するようにしましょう。

出生前検査を知る

出生前検査の受検を検討する場合、まずどのような検査があり、何を調べられるのか、妊娠何週のときに受けられるのかなどを知ることから始まります。

▶▶「出生前検査の種類」を見る

出生前検査についてもっと知りたい場合、受けるかどうか判断が難しい場合は、担当医や出生前検査を実施している施設に相談するのもよいでしょう。

▶▶「検査前後の支援」を見る

出生前検査を実施している医療機関を探す

出生前検査を希望する場合は、妊婦健診でかかっている医療機関で出生前検査を実施しているか確認してみましょう。

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)は、日本医学会の中に作られた出生前検査認証制度等運営委員会が認証している全国の医療機関で受けることができます 。認証施設では、NIPTだけでなく、他の出生前検査も行われており、出生前検査全般に関する相談(遺伝カウンセリング)も受けています。NIPT以外の検査や実施している医療機関について相談することも可能です。

▶▶「NIPTを実施する認証施設とは?」を見る

また、「全国遺伝子医療部門連絡会議」のウェブサイトでも、遺伝カウンセリングや出生前検査を実施している医療機関を検索することができます。

疾患分類で「周産期」を選び、探したい都道府県を選ぶことで、その都道府県にある出生前検査を行う医療機関の情報が得られます。予約や紹介状が必要な場合もありますので、受診に関しては医療機関にお問い合わせください。

全国遺伝子医療部門連絡会議 登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム

全国遺伝子医療部門連絡会議

遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを行っている大学病院や専門施設などの代表者による組織で、遺伝子医療の充実を目指して活動しています。

検査前後の支援

出生前検査に関しては、医療機関をはじめ、市区町村の母子保健担当窓口、当事者団体などで、妊娠の時期に応じた情報提供や相談対応などの支援が行われています。支援体制の状況は施設や地域によって異なりますが、ここでは、現時点で受けることができる支援についてご紹介します。

図:出生前検査前後に受けられる支援

出生前検査前後に受けられる支援

医療機関での相談対応や遺伝カウンセリング

出生前検査に関する相談をしたいときは、まずはかかりつけの医療機関に相談しましょう。かかりつけの医療機関で出生前検査に関する支援が受けられない場合には、日本医学会が認証しているNIPTの認証施設で相談することもできます。NIPTの認証施設には、出生前検査に詳しい医師(臨床遺伝専門医)や認定遺伝カウンセラー®、遺伝看護専門看護師などの専門家がおり、遺伝カウンセリングを行っています。

遺伝カウンセリングとは、赤ちゃんの検査や生まれつきの病気に関する妊娠・出産への不安などについて相談できるもので、「遺伝」とはついていますが、21トリソミー(ダウン症候群)のように多くは遺伝しない病気についても相談することができます。NIPTを受けると決めていない方、NIPTの認証施設で出産しない方でも遺伝カウンセリングを受けることができます。費用は医療機関によって異なります。


臨床遺伝専門医

遺伝医療に関し豊富な経験と知識がある医師です。日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会から認定されています。

認定遺伝カウンセラー®

病気や遺伝に関する正しい知識を伝え、当事者のさまざまな相談に応じ、意思決定や心理社会的側面の支援を行う専門職です。日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会から認定されています。

遺伝看護専門看護師

遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定やQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行う看護師です。日本看護協会から認定されています。

医療機関での結果説明や遺伝カウンセリング

出生前検査の結果については、検査を受けた医療機関での遺伝カウンセリングのなかで説明が行われます。

結果「異常なし」の場合

結果「異常あり」の場合

意思決定支援のツール

妊婦さんとそのご家族は、妊娠・出産にあたり、さまざまな意思決定(出生前検査を受ける・受けない、妊娠の継続について、出産方法について…など)が必要になることがあります。
また、妊婦さんご本人だけではなく、ご家族を始めとする周囲の方々との相談も必要になり、「なにがよい決定なのか」「だれにとってよい決定なのか」など迷われたり難しく感じることも多いでしょう。
本コンテンツでは、意思決定に必要となる情報を整理し、自分が大切にしているものについて確認し、納得のいく選択をガイドする「オタワ個人意思決定ガイド」の活用の仕方をご紹介します。


意思決定支援のツールについて

「オタワ個人意思決定ガイド」は、難しい決断を迫られている人のためのガイドです。意思決定に関わる人たちに自分の考えを伝える際の手助けをします。意思決定に迷われている方は、ぜひ一度お試しください。

ピアサポート

出生前検査の結果が出て、出産後の暮らしや心配ごとなどについての情報入手や相談をしたい場合は、ピアサポートといって、当事者団体や親の会など同じような立場にある人が情報提供などの支援を行っている団体の相談窓口を利用するという方法があります。団体によっては、電話やオンラインで相談することもできます。

支援を行っている団体の相談窓口について|出生前検査認証制度等運営委員会ウェブサイト

行政のサポート

都道府県・指定都市・中核市では、NIPTなど出生前検査を受けた方への相談支援を行っている地域もあります。


また、市区町村では、産前・産後をサポートする事業や産後をケアする事業を行っています。保健師や助産師などが、支援が必要な妊産婦さんの相談を受けたり、乳房ケアを含む産後の心身のケアをしたりするもので、妊産婦さんの自宅や保健センターなどの施設で行われます。妊娠中絶した場合でもサポートを受けられることもあります。市区町村によって事業の内容や利用料金は異なりますので、母子健康手帳と一緒に配布された資料や市区町村のウェブサイトを確認するか、役所の担当部署に問い合わせてみるとよいでしょう。

経済的サポート

公的医療保険による出産育児一時金と出産手当金は、妊娠4ヶ月以後の出産、流産、死産(人工妊娠中絶を含む)のいずれの場合にも支給されます。出産育児一時金は、出産時の入院費や分娩費として支給される一時金です。出産手当金は、出産のために仕事を休み、その間の給与が受けられなかった場合に支給される手当金です。これらの制度について、詳しくはご自身が加入している健康保険の窓口にお問い合わせください。

また、2023年1月より、妊娠・出産時にそれぞれ5万円相当が市区町村から給付される「出産・子育て応援交付金」が始まっています。各世帯にクーポンを支給し、そのクーポンと引き換えに指定の育児用品や子育て支援サービスを提供するものです。地域によっては、現金支給としている場合もあります。2022年4月以降に妊娠届・出産届を提出した世帯が対象となります。詳しくはお住まいの地域の市区役所・町村役場にご確認ください。

職場でのサポート

労働基準法により、一定の産前産後の休暇を取ることができます。産前休業の取得は個人の自由ですが、産後休業は取得しなければならないものです。仕事の調整が必要な場合は事前に相談するようにしましょう。妊娠4ヶ月以後の出産、流産、死産(人工妊娠中絶を含む)のいずれの場合にも、8週間の産後休業が取得できます。取得については、職場の担当窓口にお問い合わせください。

▶▶「妊産婦が受けられる支援」を見る

▶▶「出産後に受けられる主な支援」を見る

妊娠中の管理

出生前検査で赤ちゃんに染色体の病気などがあることがわかると、妊娠の継続を決めてからも、出産までどのような生活を送るとよいのか、心配もあると思います。出産までの医療機関との関わりや妊娠中の心がけなどについて知っておきましょう。

妊娠中の日常生活

日常生活で気をつけることは、基本的には、一般的な妊娠と変わりません。

▶▶「妊娠中に気をつけたい症状と病気」を見る

ただし、赤ちゃんの病気による症状が赤ちゃんにも妊婦さんにもあらわれることがあります。赤ちゃんの状態によっては、妊婦健診の間隔を短くしてこまめに経過をみたり、検査や治療のために入院が必要になったりすることもあります。妊婦健診をしっかり受け、医師の指導に従いましょう。

医療機関の選び方

赤ちゃんや妊婦さんに起こりうる問題を的確に察知・判断し、妊娠中から出産後まで継続的なケアやサポートを得られる医療機関で診てもらうことが望ましいでしょう。染色体の病気などがある赤ちゃんの出産には、新生児を専門に診る「新生児科」がある医療機関が適しています。赤ちゃんの病気の種類や状況によっては新生児科だけではなく、それぞれ専門の異なる複数の科による検査や治療が必要となることも少なくありません。どの医療機関がよいかは医師とよく相談しましょう。

医療機関での出産前・出産後の準備

医療機関では、病気がわかっている赤ちゃんの出産や出産後に向けて、さまざまな職種による準備や支援が行われます。産科では新生児科と連携して出産時期・方法が検討され、出産に向けた準備が進められます。必要に応じて、新生児科医や小児科医から、赤ちゃんの病気や、想定される検査や治療などについて説明があります。赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入る可能性がある方に対して、前もってNICUの見学ができるようにしている医療機関もあります。認定遺伝カウンセラー®やソーシャルワーカー、臨床心理士、遺伝看護専門看護師などが、心理面や福祉面の支援を行う場合もあります。

これらの支援の対象には、赤ちゃんとお母さんだけでなく、お父さんなどご家族も含まれています。妊婦健診はお母さん一人で受けに行くことが多いかもしれませんが、育児は夫婦や家族で行っていくものですから、赤ちゃんの病気や治療の説明には、お父さんも同席する機会があることを想定しておきましょう。

出生前検査で赤ちゃんの病気を早期に知ることの最大のメリットは、適切な医学的な管理につなげることと、心理的な準備や社会的な準備ができることです。さまざまな職種から指導やアドバイスを受けて、赤ちゃんや個々の環境に合わせた準備をしていきましょう。


認定遺伝カウンセラー®

病気や遺伝に関する正しい知識を伝え、当事者のさまざまな相談に応じ、意思決定や心理社会的側面の支援を行う専門職です。日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会から認定されています。

ソーシャルワーカー

福祉に関する知識を持つ専門職で、相談者の話を聞き、必要な機関などと連絡を取って社会的支援を行います。

臨床心理士

心理面の支援を行う専門職で、日本臨床心理士資格認定協会から認定されています。

遺伝看護専門看護師

遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定やQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行う看護師です。日本看護協会から認定されています。

きょうだい(上のお子さん)への伝え方

赤ちゃんに病気があることをきょうだいに伝えるのは難しいものです。年齢によっても受け取り方が異なるので、正解はひとつではありません。お母さんやお父さんが病気のことを受け止められていないときには、きょうだいに伝える前に、ゆっくり時間をかけて気持ちに向き合っていきましょう。

赤ちゃんに病気があることで何が起きる可能性があるか、病院に行く機会が増えることなどを話し、お母さんやお父さんが思っていることを正直に伝えることが大切です。年齢によっては、親が一方的に話すのではなく、病気について一緒に学んで、赤ちゃんにしてあげたいことを話し合うようにすると、育児のときに大きな支えとなってくれるかもしれません。赤ちゃんに病気があるからといって「お兄ちゃん/お姉ちゃんだから我慢してね」と我慢を強いるのは避けましょう。

赤ちゃんが亡くなってしまったときなど、お母さんやお父さんは悲しい思いをすることもあるかもしれません。こどもは、状況は理解できなくても、親が悲しんでいることはわかります。その理由がわからないと、疎外感を抱いたり、自分のせいで悲しんでいるのではないかと感じたりする場合があるので、こどもの理解に合わせてお話をする時間をもってあげることが大切です。

妊娠中大切にしたいこと

赤ちゃんに病気があることがわかっても、その症状や程度はさまざまです。赤ちゃんにどのような症状があらわれるのか、どのように育っていくのかは出産後でもわからないこともあるため、妊娠中は不安や期待で心が揺れるのも当然です。一人で抱え込まず、かかりつけの医師や医療スタッフに相談しましょう。気持ちを整理することで、妊娠中、楽しく過ごしている方、有意義な時間を過ごしている方はたくさんいます。

赤ちゃんがお腹のなかで、あるいは生まれてすぐに亡くなってしまう可能性について告げられることもあるかもしれません。お別れが避けられないとしても、赤ちゃんにどんなことをしてあげたいか、言ってあげたいかを考えてみましょう。お別れの前に手形や足型を取るなど思い出を残すサポートをしてくれる医療機関もあります。赤ちゃんと一緒にいられる時間を大切にして、今、赤ちゃんに対してできることをしていきましょう。

コラム|次のお子さんの
妊娠・出産の前に

生まれつきの病気を持って生まれてきたお子さんを育てる中で悩むことのひとつが、次のお子さんに関することではないでしょうか。「次の子も同じ病気で生まれるかもしれない」という漠然とした不安を抱いていたり、お子さんに病気があるからこそ、「きょうだいがいたほうがよいのでは」と感じていたりと、悩みや考え方は、一人ひとり異なります。ご自身やパートナーの間でも次の子に関する思いの違いがあったり、祖父母や周りの方から心配されて出生前診断を勧められたりなど、ご家族で意見が合わずに悩む場合もあります。次のお子さんの妊娠・出産や出生前検査に関わる悩みは、同じ病気のお子さんを持つ親同士でも相談しにくいかもしれません。

妊娠・出産の悩みは専門家へ相談を

次のお子さんの妊娠・出産に関する不安や悩みがある場合は、まずはお子さんの担当医に相談しましょう。かかりつけの医療機関で支援が受けられない場合は、こどもを対象とする病院や大学病院などの遺伝診療部門、先天性の病気の遺伝カウンセリングを実施している病院を探すとよいでしょう。染色体や遺伝性の病気を専門とする医師や認定遺伝カウンセラー®などから、次のお子さんへの遺伝の可能性など、事実に基づいた情報提供や心理的サポートを受けることができます。医療機関によっては妊娠前でも相談することができます。相談にかかる費用は医療機関によって異なり、基本的に自費診療なので全額自己負担となります。相談の際はお子さんの診断に関わる資料、家族や家系の情報などを用意しておくとスムーズです。

遺伝カウンセリングを実施している病院は、「全国遺伝子医療部門連絡会議」のウェブサイトで検索することができます。疾患分類で「診断内容に該当する領域」を選び、探したい都道府県を選ぶことで、その都道府県にある遺伝カウンセリングを行う医療機関の情報が得ることができます。予約や紹介状が必要な場合もありますので、受診に関しては医療機関にお問い合わせください。

全国遺伝子医療部門連絡会議 登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム

認定遺伝カウンセラー®がいる施設は、日本認定遺伝カウンセラー協会のウェブサイトで検索することもできます。

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認定遺伝カウンセラー®

病気や遺伝に関する正しい知識を伝え、当事者のさまざまな相談に応じ、意思決定や心理社会的側面の支援を行う専門職です。日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会から認定されています。

全国遺伝子医療部門連絡会議

遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを行っている大学病院などの代表者による組織で、遺伝子医療の充実を目指して活動しています。