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出生前検査に関する
支援の取り組み
自治体事例紹介

出生前検査は、検査を検討する妊婦さんやそのご家族が、専門家等により適切な情報を得て、十分な説明や遺伝カウンセリングを受けた上で受検を決定することが重要です。平成25(2013) 年、非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)が日本で開始された際には、日本産科婦人科学会が指針を策定するとともに、関係学会等の連携の下、日本医学会が認定制度を設け、認定施設において検査が実施されてきました。しかし、 ...続きを見る このような認定制度の枠組みの外でNIPTを実施する医療機関、いわゆる非認定施設が増加し、日本産科婦人科学会の指針に定められたような妊婦の不安や悩みに寄り添う適切な遺伝カウンセリングが行われずに、妊婦がNIPTを受検するケースが増加しているとの指摘がなされてきました。

このような背景から、厚生労働省では令和元(2019)年からNIPTの実態の把握・分析を実施した上で、令和2(2020)年からはNIPT 等の出生前検査の在り方について議論を重ね、「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書」(以下「報告書」)がとりまとめられました。これを受け、日本医学会に「出生前検査認証制度等運営委員会」が設置され、指針を策定し、令和4(2022)年7月より認証制度の運用を開始しています。

報告書において、妊娠・出産に関する包括的な支援の一環として、妊婦およびそのパートナーが正しい情報の提供を受け、適切な支援を得ながら意思決定を行っていくことができるよう、妊娠の初期段階において妊婦等へ誘導とならない形で、出生前検査に関する情報提供を行っていくことが適当であるとされ、具体的には、市町村の母子保健窓口等において妊婦等から出生前検査について質問や相談を受けた場合は、出生前検査について事前に知るべき事項を簡潔に記したリーフレットを配布する等の対応を行うとされています。
また、検査実施にあたっては、産婦人科医だけでなく、小児科専門医や臨床遺伝専門医をはじめとした各領域の専門医、助産師、保健師、看護師、心理職、認定遺伝カウンセラー、社会福祉関連職、ピアサポーターなどの多職種の連携が必要とされ、また行政においては、母子保健施策と障害児医療・福祉施策が連携した支援体制の整備が求められています。

妊娠・出産には嬉しさや期待とともに、不安や産み育てることへの躊躇も生じることがあります。自治体においては、中立的な立場から対応し、妊婦さんやそのご家族が熟慮の上にたどり着いた様々な選択を尊重し、妊娠期から子育て期にわたって切れ目のない支援を具体的に示し、伴走していくことが大切です。本コンテンツでは、生まれてくる赤ちゃんの将来に不安や悩みを抱える妊婦さんに寄り添う取り組みを進めている自治体の事例をご紹介します。