妊娠中は、日々からだの状態が変化し、さまざまな症状が現れることがあります。妊婦健診は定期的に受け、それ以外のタイミングでも、異変を感じた場合は担当医や助産師に相談しましょう。
気をつけたいサイン
つわり
つわりは妊娠初期に半数以上の妊婦さんにみられる一般的な症状です。ただし、食事がほとんど取れず、体重が減少するなどの場合は治療が必要になることもありますので医療機関に相談しましょう。
お腹の張り
お腹の張りは妊娠中によくみられる症状ですが、治療を必要とする切迫流産や切迫早産などが原因のことがあります。しばらく安静にして様子を見ましょう。症状が治まらない場合は、医療機関を受診してください。
性器出血
妊娠中の性器出血は、妊娠初期には比較的よくみられる症状ですが、切迫流産や切迫早産などの可能性があります。自己判断せず、受診の必要性を医療機関に相談しましょう。とくに妊娠後期の性器出血は常位胎盤早期剥離の可能性があるので、すぐに医療機関を受診しましょう。
破水感
バシャッと大量の羊水が流れ出ることもあれば、チョロチョロと漏れ出て、尿やおりものと区別が難しいこともあります。破水が疑われる場合はすぐに医療機関に連絡しましょう。
おりものの異常
おりものの量が多い、においや色が気になる、陰部がかゆい場合は、感染症にかかっている可能性がありますので医療機関を受診してください。
胎動が少ない
妊娠20週ごろから胎動を感じるようになります。妊婦健診で赤ちゃんの発育が順調と言われていて、時々胎動を感じていれば大丈夫である可能性が高いです。しかし、胎動が急に弱くなったと感じる場合は医療機関に相談しましょう。
気をつけたい状態や疾患
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧を発症した状態です。お母さんと赤ちゃんの両方が危険な状態になることがありますので、妊婦健診での血圧測定や尿検査などを通じて、異常がないかを定期的に確認することが大切です。もし、妊娠高血圧症候群と診断された場合は将来の生活習慣病の発症にも注意が必要です。
妊娠糖尿病
お母さんが高血糖になることで、赤ちゃんの合併症(巨大児や肩甲難産、新生児の低血糖や黄疸など)が増加します。妊婦健診をきちんと受けて、血糖値を確認することが重要です。尿糖は妊娠中には出やすくなるので異常ではないことも多いですが、リスクが高いと判断された場合は妊娠糖尿病 の検査を行います。もし、妊娠糖尿病 と診断された場合は将来の糖尿病の発症に注意が必要です。
感染症
感染症にかからないよう、手洗いやうがいなど基本的な対策を行いましょう。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のワクチンは、妊娠中も接種することができます。
予防すべき感染症は他にも、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、梅毒、風疹ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1)、性器クラミジア、B群溶血性レンサ球菌(GBS)などがあげられます。これらの感染の有無は妊婦健診で調べることができます。
また、トキソプラズマやサイトメガロウイルスも妊娠中に注意したい感染症です。標準的な妊婦健診の検査項目ではありませんが、これらの検査も希望すれば受けられる医療機関もありますので、気になる方は相談しましょう。
胎児発育不全
赤ちゃんの推定体重が、妊娠週数に応じた基準値よりも明らかに小さいことを胎児発育不全といいます。その後の方針を立てるためにも、定期的に妊婦健診を受けて赤ちゃんの発育をチェックすることが重要です。