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出生前検査でわかること

出生前検査は、赤ちゃんの病気を調べるものですが、あらゆる生まれつきの病気について調べられるわけではありません。現在行われている出生前検査でどのようなことがわかるのか・わからないのかを知っておきましょう。

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4分でわかる「出生前検査でわかること編」

出生前検査でわかること・わからないこと

出生前検査のうち、NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)、超音波マーカー検査、コンバインド検査(超音波マーカー検査と血液検査)、母体血清マーカー検査では、主に赤ちゃんが染色体の病気を持っている可能性がわかります。しかし、これらの検査は確定的検査(絨毛検査、羊水検査)を行うかどうかの判断をするための検査であり、陽性という結果でも、必ずしも染色体の病気があるというわけではありません。また、染色体の病気の中でも、例えば出生前検査認証制度等運営委員会でNIPTの検査対象としているのは13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー(ダウン症候群)という3つの病気の可能性だけで、それ以外の染色体の病気は検査対象としていません。

胎児超音波検査では、超音波を使って赤ちゃんの全身を観察することにより、脳や臓器、顔や手足などの特徴・病気があるかを調べます。しかし、脳や臓器などの病気の全てを発見することはできません。また、染色体の病気についても確実にはわからないものが多くあります。

確定診断のために行う絨毛検査や羊水検査では、トリソミーなど染色体の病気があるかがわかります。同じ染色体の病気でも、症状は人により違いがあり、その重さの程度まではわかりません。

生まれつきの病気がある赤ちゃんの割合は約3~5%で、染色体の病気はそのうち25%程度といわれています 1) 2)。視覚・聴覚といった感覚器や、神経発達など、さまざまな特徴や病気は出生前検査を行ってもまだまだわからないものも多いのです。

図:生まれつきの病気の原因

生まれつきの病気の原因

出生前検査を受けるか検討している方へ

出生前検査についての情報は、さまざまな場所や機会を通じて得られやすくなっていますが、信頼できる情報源から正確な情報を手に入れることが重要です。入手した情報だけでなく、ご自身の気持ちもパートナーやご家族に伝えて、しっかり話し合うことをおすすめします。

出生前検査を検討するときには、専門家に相談すること(遺伝カウンセリング)も必要です。遺伝カウンセリングを受ける際には、ご自身がどのような不安を抱えているか、どのようなことを知りたいと思っているか、どのようなことを大切にしているかを見つめ直して整理してみましょう。そうすることで、遺伝カウンセリングによって不安などが軽減されたり、必要な情報や支援を得やすくなったりします。

お腹の赤ちゃんについて詳しく知ることにより感じられる意義は一人一人で異なります。出生前検査を受けて、その後どうしていくかについて、ご自身の価値観に基づき、納得して判断していくことが大切です。

出典:

1) Nussbaum R, et al.: Thompson & Thompson Genetics in Medicine, 8th Edition, Elsevier, 2015
2) Wellesley D, et al.: J Hum Genet 2012; 20: 521-526