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出生前検査の種類

出生前検査には、主に、確定的検査を受けるか判断するための検査と、診断を確定する確定的検査があります。実施できる時期や検査結果が出るまでの期間、精度などは検査によってさまざまです。いずれも自費診療となり、検査にかかる費用は医療機関によって異なります。

図:出生前検査の種類

出生前検査の種類
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4分でわかる「出生前検査の種類編」

確定的検査を受けるか判断するための検査

お腹の赤ちゃんに染色体の病気がある可能性を調べる検査です。これらの検査だけでは確定診断とはならないため、非確定的検査とも呼ばれています。

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)

妊婦さんから採取された血液中の胎児DNA断片を用いて赤ちゃんの染色体の病気について調べる検査です。陽性、陰性、判定保留で判定されます。検出率が高いという特徴があり、陽性的中率(陽性という結果が出た場合に実際にその病気があった割合)も他の方法よりも比較的高くなっています。

超音波マーカー検査・コンバインド検査

病気があると特徴があらわれるからだの部位を超音波検査で観察するのが超音波マーカー検査です。例えば、「むくみ」や「NT」(Nuchal Translucency の略称)と呼ばれる、赤ちゃんの首の後ろの黒く見える部分などを確認します。超音波マーカーと妊娠初期の母体血清マーカー検査を組み合わせて行われるものがコンバインド検査です。

母体血清マーカー検査

妊婦さんから採取された血液の中のα-フェトプロテインなど3~4種の物質を調べて 、対象の病気がある可能性の高さを調べる検査です。

胎児超音波検査

通常の妊婦健診での超音波検査より時間をかけて赤ちゃんを調べるもので、専門的な訓練を受けた医師や検査技師が行います。超音波画像で赤ちゃんの臓器や手足などを観察し、特徴がないかを調べます。病気によっては、確定的検査にもなり得ます。

確定的検査

確定的検査を受けるか判断するための検査結果が陽性の場合や、胎児超音波検査の結果などから赤ちゃんに異常がある可能性が高い場 合に実施します。他の検査を受けていなくても、妊婦さんの実施希望に応じてこの検査のみ行われる場合もあります。 お腹に針を刺すため、流産のリスクがありますが、その確率は絨毛検査で0.2%、羊水検査で0.1~0.3%程です 1) 2)

絨毛検査

経腹超音波で赤ちゃんの位置を確認しながら、妊婦さんのお腹から注射針で胎盤の組織の一部である絨毛を採取する方法(経腹法)と、経腟超音波で観察しながら子宮頸管 から小さい鉗子やチューブを用いて採取する方法(経腟法)があります。経腟法では流産のリスクがやや高まるという報告があることから、経腹法が多く行われています。 絨毛細胞は基本的に赤ちゃんと同じDNAを持つため、 培養して染色体を調べることで、トリソミーなどの染色体の病気についてあるかないかがわかります。

羊水検査

超音波検査で赤ちゃんの位置を確認しながら、妊婦さんのお腹から注射針で羊水を採取し、羊水の中の赤ちゃんの細胞を培養して染色体を調べます。トリソミーなどの染色体の病気についてあるかないかがわかります。

出典:

1) Akolekar R, et al.: Ultrasound Obstet Gynecol 2015; 45: 16-26
2) Practice Bulletin No.162: Prenatal Diagnostic Testing for Genetic Disorders. Obstet Gynecol 2016; 127: 108-122